無意識にプレッシャーを与える仕組み
スポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。
年間で1,000人以上のアスリートにお会いし、
メンタルコーチングを行っています。
選手だけでなく、
指導者ともお話をする機会があります。
指導者の人たちの悩みでよく聞くのが、
「思った通りに動いてくれない」
「子供達の理解力が遅い」
などの話を聞きます。
これらは指導者の方が抱く典型的な
悩みかなと思います。
毎年子供達が入れ替わるJr.、高校、大学などで
指導される方ほど感じることかなと思います。
伝えても、
伝わらない・・・
このジレンマを抱えながら、
指導方法を日々模索する必要があります。
そこでここ数年で脚光を浴びてる指導法こそが、
メンタルコーチングになります。
教えるのではなく、
答えを引き出す!
質の高い質問によって、
相手の自発性を高めていく方法です。
なぜ、このような
自発性が脚光を浴びているのか?
その仕組みの一つに
「自己決定感」という心理学的理由があります。
究極のモチベーションの泉
自己決定感は
究極のモチベーションになり得ます。
「自分で決めた!」
と思えるものが自己決定感になります。
小さい子供って、
この自己決定感の塊のような存在…笑
自分で決めたことでないと
なかなかやらない事があります。
歩けるようになると、
行動範囲が広がって自分で出来る事が増えます。
すると、
欲求のままに行動してきます。
夢中なものには
とことん夢中になります。
先日も、
とある方が教えてくれたのが、
子供の収集癖です。
とにかくに落ち葉を集めることに
夢中になるようです。笑
大人から見たら、
どこが面白いのか!?笑
と思ってしまうことも自分で決めた事には
トコトン夢中になって突き進みます。
永遠と続けるので
まさに究極のモチベーションです。
Jリーグのガンバ大阪で活躍されている
宇佐美選手は幼少期に永遠とボールを
蹴り続けたと言う逸話が残っています。
大人が止めるまで努力してるように見えますが、
本人は好きでやってるので努力だと思っていないのです。
これこそが、
自己決定感の素晴らしい力になります。
モチベーションとは「やる気」だと思われますが、
正しくは「動機付け」になります。
行動を起こすための理由だと
思って頂くとわかりやすいかなと思います。
この動機付けには内側から出るものと、
外側から与えられるものがあります。
実は、
経験や知識が豊かな指導者であればあるほど、
外側の動機を作るのが得意な傾向があります。
経験が豊富な人ほど教えたがる
私たちはよくもよくも悪くも
成功体験によって行動が変わっていきます。
経験が豊富であればあるほど、
当然成功体験も増えてきます。
そういう人であればあるほど、
経験の延長線上で指導してしまいがちです。
すると、
こんな傾向があります。
それは、
正解ありきで物事を
伝えようとしてしまう事です。
そうすると、
無意識に自分が指導している選手を
指導者の答えに当てはめようとしてしまうのです。
それによって、
自然と選手の可能性も
その指導者の思考の枠の中でしか生まれません。
なので、
自分が伝えたことを早く理解してくれる選手が
「良い選手」であり理解力が遅い選手ほど
「ダメな選手」だと思い込んでしまうのです。
理解力が遅い選手に対して、
理解して欲しい気持ちが強くなり過ぎて
伝えすぎるループにハマっていきます。
伝える
↓
伝わらない
↓
さらに伝える
↓
伝わらない
↓
もっと伝える
↓
選手の自発性が育たない・・・
選手自身も、
理解できないことを
プレッシャーに感じてしまいます。
そして結果的に残るのは、
YESマンだけ・・・
理解力が高そうな選手だけが残り、
理解力が高い人だけにしか
指導できない人が頂点に残っていきます。
なので、
指導者ではなく支配者になっている自分に
遅かれ早かれ気づく必要があります。
権威勾配に気をつける
そこで意識して欲しいのが
権威勾配という考え方です。
経験や知識、さらには肩書き、
年齢などの理由で無意識に上下関係を作ってしまうことです。
この権威勾配が生まれる事によって
指導ではなく支配になってしまいます。
この権威勾配はもともと飛行機のパイロットの
クルーリソースマネジメントから来ています。
飛行機が安全に空を飛ぶためには1人で操縦するよりも、
2人1組になってお互いが協力し合って飛ばします。
これは、
人はミスが起きるものという前提があるからこそ
お互いを支えある仕組みになっています。
このことをツーマンコンセプトといいます。
指導者の現場でよくあるのが、
監督とコーチとの関係であったり、
指導者と親御さんとの関係です。
トップダウンで決めたり、
ボトムアップで決めることが必要であったり、
時々によって意思決定の流れが変化するものです。
ここ最近のトレンドでは、
ボトムアップ理論などが非常に有名ですが、
時には経験豊富な指導者によるトップダウンによる意思決定も必要なのです。
しかし、
これらのマネジメント理論を実践する上で
関係性がフラットである必要性があります。
どうしても絶対的なフラットな関係性は
作りにくいのが現実です。
しかし、
それを理解した上でフラットな関係構築を
意識するしないでは全く違う結果になります。
では、
このフラットな関係性を
作る上で有効になるのは何か?
それこそが、
メンタルコーチングになります。
メンタルコーチングの必要性
私は指導者のために
メンタルコーチをつける必要性があると思っています。
もしくは、
メンタルコーチングを学ぶ必要があると思っています。
一般的には、
メンタルコーチングの技術を学ぶ人の方が多いと思います。
しかし、
選手を支える側だからこそ自分自身に対して
メンタルコーチを雇う指導者は選手よりも少ないと思います。
もちろんそれが正解とは限りません。
その上で伝えたい言葉があります。
それは、
「自分を客観的に見る姿勢」です。
私自身、メンタルコーチであり、
相手によっては指導者でもあります。
年間で沢山の事例に触れたり、
現場に出向くことがあります。
そんな中で、
世界大会に優勝することもあれば、
1回戦目で負けてしまうこともあります。
心底嬉しいこともあれば、
心の底から一緒に悲しむこともあります。
状況や環境によって常に自分を一定に
保つことができないこともあります。
また、
自分自身が偏った思考に陥り、
誤った決断をしないためにも
常に自分自身を正す為にコンサルティングや
メンタルコーチも就けています。
自分のことほど、
盲目になりやすいからこそです。
自分も1人の人間であるからこそ
皆さんと何一つ変わりもないのです。
ただ意識している事は、
自分が考えている以上に
自分のことを理解できていないと言うこと。
そして、
自分が考えている以上に
自分の考えは浅かったりすること。
この2つを常に
自分に問いかけています。
この姿勢を
謙虚と呼ぶかもしれませんし、
素直と言うかもしれません。
自分自身が選手を導く立場で
あるからこそ常に自分に対してもおごらず
謙虚に日々を過ごしていきたいのです。
ここまで、
まさに私の経験と価値観を
伝え過ぎてるかもしれませんが(笑)
その上で、
ちょっとした問いかけを
ご用意いたしました。
「常に自分は正しいのか?」
答えは
状況によって変化すると思います。
イエスでもノーでもOKです。
その時に理由だけ考えてみてください。
素晴らしい指導者だからこそ、
自己を見つめ直すことで、
多くの子供達を支えていけるヒントを
こちらのブログで綴れたら幸いです。